涙をぐっと堪える。
深呼吸をして、息を整える。
「あたしは、最低だよね……」
大切な人の好きな人に、恋をした。
許してもらうように、莉子の笑顔の写真に向けて伝えたからって。
眠ってしまった莉子は、なにも話せない。
それをわかってて、好きでいることを許してもらえるように頼んだあたしは、最低だ。
「いいんじゃん? 好きなら好きで!」
「芽依……」
「そうだよっ。 りーちゃんは、そんなことで怒ったりしない。きーちゃんが自分の気持ちを否定することのほうが怒るよ!」
「実鈴も。 ……ありがとう」
ちょっとだけスッキリしたかもしれない。
ただ、だれかに話したかった。
そうすればちゃんと決断できるんじゃないかなって。
「あたし、好きでいる。 ……でも、伝えることはしないよ」
「希子!」


