恋日和 〜キミに届かない恋でも〜




相変わらず耳のすぐ横で聞こえる声と、あたしの手元を覗いてくる顔が近くて、胸がドキドキする。



「朝陽ー! ちょっと手伝えって!」

「おう」



杉山くんに呼ばれた三吉くんは、男の子たちのほうに戻って行った。


ドキドキした……。



「希子、せめて切るのだけはちゃんとしてよね」



口調は強めだけど芽依はにやにやしていて、言葉と表情があっていない。



「はーい……」



包丁はやっぱり怖いな。
おそるおそる包丁に手を伸ばして、にんじんを切っていく。


切られていくにんじんの形はきれいな丸型ではなくて、ぼこぼこの形。
皮をむくところで間違えたのかなあ。



「で、できたー……」

「うわあ、ぼっこぼこ」

「もう、芽依ってばひどいなあ!」



怒り気味にそう言いながら、芽依の手元にあるじゃがいもとたまねぎに目を向ける。