恋日和 〜キミに届かない恋でも〜




「大丈夫?」



エリカちゃんはまるで恐ろしいものを見ているかのような顔をしていて、笑っちゃいそう。



「痛くないし大丈夫だよ!保健室行ってくる」



痛くないっていうのはうそだけど。

ここでぎゃーぎゃー喚くわけにもいかないし、ドッチボールでこういう怪我はつきものだしね。


そう思って、鼻をつまみながらすぐコートを出て、保健室に向かう。



鼻血なんて滅多に出ないから……ちょっと気持ち悪い。



ティッシュなんて持っているわけもなく、ぽたぽたと白い体操着を汚していく。
あーもう、ついてないや。


そう思いながら足早に保健室に向かっている途中、



「希子!」



という声が、大きな足音とともにうしろから聞こえてきた。