莉子のことはだれも忘れない。
だれの記憶からも消えないはずだから。



「笑ってるほうがいい。 莉子もそのほうがいいって思ってるはず」

「春馬がそんなこと言うなんて、気持ち悪い」



あははっと笑いながらそう言うと、隣を歩く春馬は目を見開いた。



「はあ!? 俺はおまえのことを思って……」

「わかってるよ」



春馬の言葉を遮るようにして、笑顔でそう言う。
すると春馬も、安心したように笑った。



「クラス替え、ドキドキするね!」

「そうだな。 希子とは離れたいくらいだけど」

「なにそれ!? 本当は一緒がいいくせに」

「は、むり」



真顔でそう吐き捨てた春馬。
い、意外と傷つく……!!



でも、いつもどおりにいられる。