どうしてなにも言ってくれなかったの。
病気のことだって、莉子の口からは聞いてない。
お父さんとお母さんからも。
でも、周りを見たらすぐにわかっちゃったから、聞く必要もなかった。
だけど、言って欲しかった。
三吉くんのことも言って欲しかった。
どうしていつもひとりで抱え込むの。
あたしは頼りないけれど、莉子のこと少しでも助けてあげたかった。
……もっと、話したかった。
『ありがとう』ってあたしも莉子に伝えたかったのに。
そんな簡単にどこかに行っちゃうの?
お願いだから……戻ってきて。
あたし、莉子に伝えたいことたくさんあるよ。
心でそう思っても、口でそう言っても。
もう絶対に莉子には届かない。
どんなに大きな声で叫んでも、莉子はもう気づいてくれない。
窓の外を見ると、空の色は灰色だった。
さっきだってずっと、空を見上げてたはずなのに、そんなことにいま気がついた。
ーー雨が、降りそう。
そう思って、あたしは涙を拭いた。


