ニヤリ、と声が聞こえた気がした。





「……はい?」





聞き間違い…かな?






「俺がアンタにお礼言うわけないだろ。
嬉しかったか?」




聞き間違いじゃ、ない。




「意地悪っ!」




あたしは出来る限り叫んだ。




あたしのドキドキ…返せ!!





「アンタからかうと面白いからさ。
ついついからかっちゃうんだよな~」




怒るあたしとは正反対に、笑っている早乙女くん。




「馬鹿っ!」

「お前に馬鹿と言われるほど、俺は馬鹿じゃないね」





も~嫌になる!

あたしはまだ冷めない頬を、静かに押さえた。