私に自由が来たのは どれくらいぶりだろう……? 自由といっても、 この図書室から一人で 出るのは許されない……。 それでも 小さな自分だけの時間が 手に入ったことが 本当に嬉しかった。 私は読みたい本もなかったから、 図書館の中を見回しながら 適当に歩いた。 図書館といっても、 ここにいるのは 城の中の人だけ……。 私と同年代の人など 一人もいない……。 私は一番奥の方まで 歩いて行った時に、 昔のことを思い出して、 一番奥の本棚のところまで 歩いて行った……。