白衣の王子様



「てゆーか、このまま学校、来ないでほしいよね。春衣ちゃん」


「っ……」


「ふふっ、確かに~」


トイレの鏡を見ながらメイクを直す茉由華が放った言葉を聞いて、私も心の奥で一瞬「確かに」と思ってしまった。

ほんの、一瞬だけ……。



「つーか春衣ちゃんってウザくない?」


「あっ、わかる~!めっちゃよくわかる~!」


「男子が苦手ですーとか純情ぶってるけど、沢渡とは普通にしゃべってるし、保健室の神崎とも妙に親し気にしてるしさー」


「か弱い子アピールして、男子の気を惹きたいだけなんじゃないかなぁ~って思う~」


「だよねー、やっぱ乃彩もそう思うよねー。ねぇ、瑠璃香もそう思うよね……?」


「えっ……」



2人の視線が、私に注がれる。

触れたくない話題を振られて、困惑する。

どうしよう。


ここで2人に便乗したら、絶対にダメだってわかってるのに……。



「ほんっとに、ウザいよね?春衣ちゃんって」


でも、このままじゃ苦しい。
楽になりたい。


「……うん、そうだね」


親友なのに、最低だ。



「私も、最近ずっと、そう思ってたの……」


最低だけど、これは本音。

心苦しいはずなのに、やっと本音が言えて、何となくモヤモヤした気持ちが軽くなっていくような、そんな気がした。