春衣ちゃんが憎い。
でも、ダメ。
ダメだ、絶対。
親友を憎いなんて、思ったら絶対にダメなのに……。
「瑠璃香ー、何ボーっとしてんのー?」
「難しい顔してたけど考え事かな~?」
「あ、茉由華(まゆか)、乃彩(のあ)……」
「るーちゃん、一緒にトイレ行こうよ~」
「うん……」
私に声をかけてきたのは、同じクラスの斉條(さいじょう)茉由華と石井(いしい)乃彩。
今の私はこの2人と一緒にいる事が多い。
「ねぇ、るーちゃん!この新作のリップグロスが超可愛くてね、絶対るーちゃんにも似合うと思うよ~」
「えっ、そうかな……」
「ってかさ、瑠璃香、なんか別クラスの男子としゃべってたけど、もしかして彼氏とか?」
「違うよっ!そんな彼氏なんて大それたもんじゃ……多分、向こうは私の事、眼中にないと思うし……」
トイレに行って、鏡の前でただおしゃべりするこの時間が、何気に好きだったりする。
でも次の瞬間。
楽しい空気が、茉由華の一言で一変した。


