「琉璃香、お客さんが来てるよ。後ろのドアの所にいるから」


ぼんやりスマホを眺めてたら、クラスの子が急にそう言ってきた。



教室の後ろのドアの方に視線を移してみると、何故か宇佐見くんがいて、私と目が合うとニコッと笑って手を振ってきた。



「えっ……なっ、何でっ……」


気持ちが、一気に高鳴る。
急いで席を立って、彼の元へ。



「やっ。久しぶりだね」


「どっ、どうしたの?急にっ……」



まさか宇佐見くんが、私に会いに来るなんて……。

緊張のせいか、上手く話せない。

しどろもどろした話し方になっちゃう。



「あのさ、春依ちゃん来てないの?」


「え?」


「ここ最近、ずっと春依ちゃんの姿を見ないから……どうしたのかなって」


「……」



なーんだ、そういう事か。

宇佐見くんは、私に会いに来たんじゃない。


彼の口から、春依ちゃんの名前を聞いた途端、どうしようもなく不愉快な気持ちになった。