お母さんを失ってから、ずっと学校を休み続けている私に対して、優さんは相変わらず「学校に行け」とは全く言ってこない。
むしろ、「当分の間は、ゆっくり休んだ方がいい」とまで言ってくれてるくらいだ。
「このままじゃ……留年ですかね?」
冷めかけた紅茶をちびちび飲みながら、独り言のように呟いた。
「多分まだ大丈夫だよ。いざとなれば、保健室登校すればいいし、勉強なら僕が教えてあげるから」
「……」
いつまでも、メソメソしてたらダメ。
それはわかっている。
わかっているけど……。
「そうだ、春依ちゃん。お友達からたくさん連絡がきてるんじゃないの?携帯、確認してみたら?」
そういえば、携帯は電源を切って放置したままだった。
私は自分の部屋に行き、机の引き出しにしまっていた携帯を取り出した。
電源を入れてみると案の定、たくさんの不在着信やメールがきていた。
しかもそれは全部、爽くんからだった。
メールの内容はどれも私の事を心配してくれているような内容で、返信しなかった事を申し訳なく思った。
ただ、ひとつだけ違和感を覚えた。
爽くんからはたくさん連絡がきている事に対し、琉璃香ちゃんからは全くきていない。
私が熱を出して学校を休んだ時は、必ず連絡をくれたのに……。
少しの不安を感じたが、きっと忙しいんだろうと思って、あまり気にしないようにした。