元々、優さんとの同居はお母さんが出張から帰ってくるまでという期限付きのものだった。


だからもう、優さんがここに住む必要性はないわけで……。




「あー、その事なんだけどさ……」


「……?」


「言い忘れてたけど、僕、ここに住む事にしたんだ。だから住んでたマンションは解約してるんだ」



当然のように言われ、驚きを隠せない。

そんなの今、初めて聞かされた。



「どうせあの部屋は帰ってきて寝るだけの場所だったし、春依ちゃんを1人になんてしたくないしね」


「私は、1人でも……」



引き取ってくれる親戚がいない私には、1人暮らしという選択肢しかない。

一応お金はお母さんが残してくれた遺産と保険金がある……。



「まさか春依ちゃん、これから1人で生きていくつもり?」


「……私、学校を辞めて働こうかと思ってるんです。お母さんが残してくれたお金、あまり使いたくないし」


向かい側に座る優さんから、盛大なため息が聞こえてきた。