白衣の王子様




違う。
怒ってるわけじゃない。

そういうわけじゃなくて、僕はただ……。



「こういう時くらい、頼ってよ!こんな辛い事、1人で我慢しようとしないでっ……!」


そう言った後、彼女を抱きしめた。



本当は、不安だったんでしょ?

病院に1人でいる間、悲しくて、不安で仕方なかったんでしょ?


だから僕が来た時、抱き着いたりしたんじゃないの?



「優さんっ……」


「春依ちゃん……1人ぼっちなんかじゃないから。僕が、いるから……絶対に、いなくなったりなんかしない……」



僕が彼女にできる事は、きっと限られている。

だから、できる限りの事を精一杯しよう。


彼女のそばで……。