白衣の王子様




体を小刻みに震わせながら僕に抱き着く姿は弱々しく、泣いているように見えた。



抱きしめてあげたい……。

咄嗟にそう思ったが、グッと堪えて我慢した。


周りにいる人達がチラチラとこちらを見ている。



「春依ちゃん、中庭に行こうか」


彼女の手を引いて、早足で中庭へと向かった。



中庭に設置されているベンチに座らせて、ひとまず自分も隣に座った。


静かに涙を流す彼女に、何も言えなくて、お互いに無言のまま時間が経過していった。



「……優さんっ……どうしよう……」


しばらくして、ようやく春依ちゃんが発した言葉は衝撃的なものだった。