白衣の王子様




正直、病院にいる間、春依ちゃんに何て声をかけていいかわからなくて、ほとんど声をかけてあげられなかった。


ただ、彼女のそばにいただけ。



こんな時、何かしてあげられる事はないのかなぁ。





「……先生、神崎先生っ!」


「ぉわっ!!ビックリした……」


「もう、考え事ですか?」



急に声をかけられて驚く僕に対して、腕を組んで、ちょっと拗ねた様子の町田先生。


いつの間に保健室に来てたんだろう。



「町田先生、いつからそこに……」


「さっきからですよっ!声かけてたのに、神崎先生ったら全然気づいてくれないんですもん」


「すみません、ちょっと考え事をしてて……」



町田先生は興味なさそうに「ふぅん」と呟いた後、ポンと僕の肩に手を置いた。