白衣の王子様





「これ、サービスね。あ、お友達にも、はい」


「あっ、浦川さんっ!」


「春依ちゃん、お店に来てくれて、嬉しいよ」




浦川さんはパチンと私に向ってウィンクした。




「ねぇ……」


仕事中にも関わらず、浦川さんは私の横にしゃがみ込んで、上目遣いで顔を覗き込んできた。




「またここでバイトする気ない?大歓迎するよ?」


「今のところ、未定です。あの、仕事に戻った方が……」


「遠慮しなくていいのに。俺さ、寂しいんだ。春依ちゃんがいなくなっちゃって」




甘えるように言い寄られて、困惑するしかなかった。

琉璃香ちゃんは呆れ顔。



困り果てていると、他のお客さんが「すみませーん」と彼を呼んだ。


彼は「はーい」と返事をして、渋々仕事に戻った。