「ある」

「えーいいなー
私も名前欲しいですぅ」

気が済むまでぶーぶーいうと彼女は何を思い出したのか

「あっそうだ」

とさけびもう帰りますねと言うとばいばいと手を振って戻って行った



一人に戻った部屋で再び書物とにらめっこする

ここで悩んでいても文字を読めるようにはならないが何かをするきにもならない

「どうしたの主ー」

壁から声がする

声がするほうに目を向ければ装飾の施されている剣が壁にかかっていた

「お祭りだよー辛気臭い顔しないでよー
出かけてもいい?」

「うーむ」

彼はいわゆる武器であるが本人にそれをいうと怒る

私は神仙に来てからというもの、ほとんど動く事はないがお供(?)の武器はそれが不満らしい

「楽しいよー人いっぱいだよ」

とにかく派手好きで騒ぐ

「たまには外の空気が吸いたいー」

「剣がそれを言うか」

「錆びてやる!」

「錆びたらお手入れいらず魔法の剣っていうお主の唯一のアイデンティティがなくなるだろ」

「ある!あるって!
この装飾!」

「ふーん
まあ壁の肥やしなお主だからのう」

「なにそのまあいいかみたいな目!
ひどい、ひどいよ!」

男の声で泣く声がする

うざいことこのうえないのでしかたないかと送り出すことにする

「分かったからやめろ」

「わーい」

待ってましたと言うようにもくもくとけむりがあがり人の姿をとった

「ただし、遅くなるなよ」

「え、主行かないの?」

旅人のような装いの男が驚いた顔をしたのですっと目をそらす

精霊の彼であればみつかってもありがたがられるだけだが狐である私はそうはいくまい