「そうなんですよ
今日ふもとの、えーと名前は思い出せないんですけどお祭り?があるときいたのですよ」

「ふもとの村か?」

「神事っていって都から皇子様が来て、露店もたくさん来るらしいですよ」

「ふん、大方視察ついでに狩りでもしにくるのだろ
二週間程前に南方の蛮族が片付いたと騒いでおったであろうに」

「千里眼ですか?」

目を見張って聞き返すので私は横を向いた

「まぁな」

天狐の力のひとつに、遠くを見渡すことができる千里眼がある

実際千里(一里500メートル)見渡せるわけではないがそこに行ったように場所の状況が分かるし声も聞こえる

「便利ですねぇ」

昔からできたわけではなく後天的に獲得したのだが、それを言ったら自分も練習すると言い出しそうなので口はつぐんでおこう

「そういえば、お主、名はあったか?」

「名前ですか?どうしたんですかいきなり」

もちろんないと続けて彼女はわたしのほうに目を向けた

「そういえば天狐様はお名前あるんですよね」