「子供?」

剣は目を見開き、ついで子供のおっくうそうな表情に心配をにじませた様子であった

見る限りその子供は、外で遊びたいさかりの年の頃であろうが、己の立場をわきまえてそれをみじんもだすまいとしているのが見ていて感じられて、それが剣にとっては痛々しく感じられたのだろう

今日の祭を村の子達のように胸をときめかせながら待っていたわけではないのだろう、その子の顔には、見覚えがあった

「噂の王子殿下ではないか?」

そういうと剣はさきほどより大きくめを見開き、ついで嬉しそうに顔をほころばせた

そして、さきほどとは逆転して生き生きとしたこえで

「あー!なるほど
おーい!」

天幕にむかってさけんだのである。

「は?おまえなにしてる」

「なにって、王子殿下って主役じゃないですかぁ
挨拶しなきゃ失礼でしょ」