風呂から上がり少香と見世の階段を上がっていると
「おやおや。誰かと思ったら見世のものに恋をしたバカな新造と、死に損ないの新造じゃあないか」
と憎まれ口を叩きながら挑発をしてくる春菊姉さんだった。
禿のときは黙って憎まれ口を聞いていたが新造となり度胸もついたあたしは言い返した。
「…姉さんに上客がつかないのは、その性格のせいだとおもいんすー」
と廓言葉をつかい馬鹿にしたように言うと姉さんは顔を真っ赤にして言った。
「なっ!?新造のくせに姉さんに口答えとは生意気だね!!それに廓言葉なんか使って!!」
いつの間にか周りには遊女が集まっていて修羅場だと騒いでいた。
姉さんはあたしを叩こうと手を振り上げた。あたしはその手を掴んで
「姉さん。その性格の悪さは人一倍でありんす」
と笑い少香と歩き出した。