~ショッピングモール~


ショッピングモールに入って30分。



「有紗...きまった?」



「決まったっちゃ決まったかな?」



そーいって、有紗が出したのは、
私には到底無理な大人っぽい黒のビキニだった。



「日愛は?...ってなにも決まってないじゃない...」



「だって、私は有紗みたいにスタイル良くないし、背だって大きくないし、似合うのがないんだもん......」



「....ったく......仕方ないから、私が選んであげる!そのかわり、それちゃんと着てよ?」



「本当!?ありがとーっ」



有紗は「待ってて」といってお店の奥に行ってしまった。



有紗ってかっこいいな......と感激していたら



「日愛っ これ、試着して?」



と、私の前に差し出されたのは、
白生地で、ピンクの小花柄がちりばめられていて、胸元にはピンクのリボンがついているビキニだった。



「は!?無理無理ぜーったい無理!」



「大丈夫だって!日愛はスタイルいいし、こういうふわふわってしたのが
似合うからっ ほらっ早く試着してきて!」



半ば無理やり、私は試着室に入れられた。



~5分後~

「日愛?着たでしょ?開けるよ?」



「うわっ....有紗っ いきなり開けないでよ......って、有紗?」



有紗は口を開けたまま、私を見て、固まっている。



「そんなに似合ってない?」



「日愛......」



「は、はい?」



どんな言葉で貶されるのかとびくびくしてたら、



「日愛、すごく似合ってる!
......これがキュン死か......めっちゃ可愛い!これ買お!」



有紗がいきなりそんなこというから、
私の方が驚いてしまった。



水着を買った、私と有紗は明日のことを考えて早く帰ることにした。



「有紗ーっ また明日ね!」



有紗に手を振り、家に帰る途中、
大地に会った。



「日愛、こんなことでなにしんてだよ?」



「大地っ 有紗と買い物いってたんだっ
大地は?」



「俺は、そこの公園でサッカーの練習してたんだよ」



「あー......夏の大会っていつだっけ?」



「8月半ばだっけかな......まぁ、8月入ってすぐ練習試合とか合宿とか忙しいけどな?」



「大地はサッカー部の期待の星だもんねっがんばってね!」



「おうっ ありがとな!」



大地はクシャっと笑い、私の頭をポンポンと叩いた。



「......ってか日愛? お前、明日のこと忘れてたんだってな?」



「えっ......なんでそのこと......大地が?」



「土館からメールきたんだよな?
ちゃんと叱っておいてくれってな?」



有紗......余計なことを......



とりあえず、この場は知らないふりをして気に抜けよう......



「な、なんのこと?私、知らなーい
じゃあ、私帰るねー」



タイミングを見計らって私は、家の方向に一直線に駆け出した。



「おいっ...日愛......」



全速力で走ったのに、あっけなく大地につかまってしまった。



「日愛、お前なに急に走ってんだよ....」



「だって、大地が怒ると1時間はお説教するもんっ」



「ったく......お前は幼稚園児かよ......
ほらっ怒んねーからこっち向け...」



「嫌だ!ぜーったいに向かない!」



「絶対に怒んねーから、な?」



「本当......?」



「本当だから」



大地は、私が上を向いたのを確認すると、



「やっと、こっち向いたな...さぁ、さっきの話の続きでもするか?」



「なっ......嘘ついたの!?」



慌てて下を向こうとすると、



大地に顎を持ち上げられて、



チュッ



頬に感じた感触。



「だ......いち......なんで......」



「明日のこと忘れた罰だ......俺だって楽しみにしてんだから忘れるなよな?」



私が驚いて固まっていると、



「ほらっ 突っ立ってないで帰るぞ?」



大地は、「ほらっ」と、手を差し出してきた。



私はその手を握り、夕日に照らされる道を2人で歩いて帰った。