「大地くん?」



俺が振り向くと、そこにいたのは、
土館だった。



「さっき、日愛がね?泣きながら校舎の中入るところみつけて、
「最後のフォークダンス出ないの?」
って聞いたら、今はそういう気分じゃないって......なにがあったか知ってる?」



「さぁ......日愛とは話してないからな...
知らねぇよ......」



「なんで日愛と話さないの?」



「日愛が嫌がってるから......」



土館はハァ、とため息をつくと、



「日愛がいつ、大地くんと話すのが嫌だっていったの?」



「言ってないけどよ....分かるんだよ.....
幼なじみだから......ずっと一緒にいたから......」



「大地くん?」



「なんだ......つちだ....」



バチンッ!!!



「.........って......」



自分でも一瞬なにがおきたかわからなかった。



でも、やっとわかった。



土館が俺の頬をひっぱたいたんだ。



「......ハハッ......笑わせないでよ........
幼なじみだから...ずっと一緒いたから、日愛の思ってること、考えてること全部わかるっていうの!?
ずっと一緒にいたら、相手の心がわかるっていうならみんな苦労なんてしないわよ!!」



普段はあまり大声を出さない土館が涙目になりながら俺に怒っているから俺も、まわりの奴らも唖然としている。



「それに、その様子じゃ、日愛のことを思ってわざと冷たくしてる感じ?
本当に日愛のことが好きなら......
やること違うでしょ?このまま、
日愛のためとかいって、ずっと話せなくていいの?今なら日愛は一人だし、
みんなもフォークダンスで外だし、
ちゃんと話すなら今しかないんじゃない?」



土館の言う通りだ......俺は、日愛のためとかいって、日愛とちゃんと話すのが怖いんだ。



土館の言葉で目が覚めた。



逃げてばかりじゃダメだ......
これ以上逃げたってなんにもなんねーんだよな......



「土館......ありがとな......俺、日愛とちゃんと話してくる......」



「やっとわかった?もぉ......手間かけさせないでよ?」



「あぁ......日愛ってどこにいるかわかるか?」



「......多分、自分の教室とかじゃない?」



「ありがとな...じゃあ、行ってくるなっ」



俺は日愛を探しに走り出した。