日愛side
急につかまれていた、手首の感覚がなくなり、私を呼ぶ声がしたから目を開けてみた。
そこには、心配そうに私を見る大地の姿があった。
「...だ......いち......」
恐怖が終わったあとにだした声は、
細く、今にも消えそうなくらい小さかった。
急に、ふわっとラベンダーの香りが広がる。
この香り......大地だ.........
気づいたときには、私は大地に抱きしめられている状態だった。
その瞬間、引っかかっていたなにかが取れたかのように、私の心臓がリズムよく鳴り始めた。
「バカ日愛....マジで心配したんだぞ...
でも、よかった......日愛が無事で......」
大地が話す度に早くなる心臓の音。
胸が苦しくて、体が暑い。
夏の暑さのせいかもしれない......だけど......私はきっと、大地に恋をしている......そう感じた瞬間だった......