姉さんは上客を睨みながら言った。
「帰ってくださいな。あんたみたいな客はいらないんで。」
「この子の始めての客はあたしが決めた人だけ!!あんたみたいなゲスなやつはもってのほか!!一人前の遊女になるまで指一本も触れさせん!!…解ったらその面見せんじゃないよ!!」
華菊屋で働く見世の男が上客を引きずり出した。
「はぁはぁはぁ… 」
部屋に姉さんの荒い息が聞こえる。
「ね、姉さん?いいの?あの人上客なんじゃ…」
と聞くと、
「いいんだよ。」
と言った。
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