ラスト・バレンタイン



「チョコ、レート・・・・・・?」



驚いて声が若干掠れてはいたが、彼女には聞こえたようだ。


コクリと頷き、不安げに俺を見ながら口を開く。



「佐伯君がチョコ好きか分からないんだけど・・・・・・

良かったら、貰って下さい」



そんな羽月に、俺はありがと、と呟く。


チョコレートは、好きだ。


・・・・・・あまり、貰った事は無いけれど、これと言って気持ちが高ぶるという事も無い。



「貰ってくれて、ありがと」



――――はずだった。