・・・・・・えーっと。ん?
ちらり、と右隣の席へと視線を向ける。
恥ずかしそうに俯いて、必死に授業を受けているかのように見せかける彼女。
羽月稔(ハヅキ ミノル)は、長い色素の薄い髪の毛先を、落ち着き無く弄っていた。
そんな羽月の机の端を、トントン、と叩く。
驚いたように顔を向ける彼女に、右手で小さく丸を作って見せた。
そのまま、彼女の反応も見ずに、俺は完全に寝る体勢へと入る。
化学担当のおっさん教師の講義が、静かに眠りへと誘う。
ノートを走るペンが、次第に文字を書かずに、ミミズへと走った。
――――決めた。
もう、俺は夜更かししてまで漫画は読まない。



