ラスト・バレンタイン



「・・・・・・雪?」


「すごーいっ!!雪だ!!」



ホワイトバレンタインだね、と笑う彼女の頭に、粉雪が舞う。


薄灰色の雲から、うっすらとした光と共に小さな雪が降り始めていた。


牡丹雪ではなく、粉砂糖のような、細かな――――


吐く息で、すぐに溶けるような、そんな雪の中で、屈託無く笑う羽月。



・・・・・・初めて、女子を可愛いと思った。



「・・・・・・かわい」



ボソッと口を割って出た言葉に、慌てて口を塞ぐ。


幸い、はしゃぐ羽月には、この言葉は届いていないようだった。



「じゃ、また明日」


「あ、うん・・・・・・バイバイ、佐伯君」