瞬く星の下で

いや、何が大丈夫なのだろう。



自分は、この苦しんでいる少女に対して声をかけることしかできない。



皇太子という位を持ちながら、たった1人の少女さえ救えない自分が歯痒かった




とはいえ、少女の呼吸も少し落ち着いたようで、ハールーンは安堵の息を吐いた。




「早く、良くなればいいのだが……」




拾った時よりも、かなり痩せている。




このままでは、今は命に別状がなくともいずれそうは言ってられない状況になる。




そうなる前に早く目を覚まして欲しい。





「ハールーン様?いらっしゃっていたのですか」




ハールーンに声をかけたのは、王宮に長く勤める医者・マルヤ。




もう、いい歳のお爺さんだが、ピンと背筋を伸ばしてスタスタと歩く。




皆からは、マル爺と呼ばれ親しまれている



「今日で5度目ですな。ハールーン様と会うのは」




「あぁ」




「大分、このお嬢さんを気にかけておるようで。お気に召しましたかの?」



ニコニコと笑うマルヤに対し、ハールーンは表情を動かさない。



「私が拾ったのだから、気にかけるのは当たり前だろう」



ハールーンの冷静な言葉にも、そうですなと笑うマルヤ。




…………おちょくられているようで気にくわない。