瞬く星の下で

それでも沙羅は、拘束が緩くなった一瞬の隙を付いて逃げ出した。



「おいっ!……クソッ…追え!」



背後から男達の声が聞こえる。



「………ハァ……ハァ………」



どんどん足音が近づいて来る。



嫌だ。



捕まりたくない。



でも…………。



もう…………。


……………無理。



カクンと沙羅の膝がおれた。



ズシャッと石畳の上に倒れる。



「………ハァハァ……ケホ……ケホッケホッケホッ………ヒュー……ヒュー…」


倒れた沙羅は起き上がることもできずに、酸素を求めて喘ぐことで精一杯。



誰か……助けて……。


足音が、すぐ近くで止まる。



ついで毒付く声が聞こえた。



「んだよ、病気持ちか。こいつは売れねぇな。おい、行くぞ」


足音が去っていく。



助か……った……?



良かった。



けど、これ以上動けない。



私、死ぬのかな………?



やだ、な………



「…い………………ぶか?」



意識が完全に沈む直前に、沙羅は誰かの声を聞いた気がした。