愛と哀







叩かれた弾みでお母さんはその場に倒れこんだ。



驚いた表情で春田くんを見ながら、叩かれた箇所を震える手で押さえていた。






「母親だからって生意気なんだよ。七乃を苦しめるなんて、いい度胸してんじゃん」


「……っ」




何で?


どうして、そんなに怖いの……?




確かにクールなイメージが強いけど、そんなに怖いの……春田くんらしくないよ。




「クソっ……」



壁をドンッと叩いて、苛立った様子でお母さんは部屋を出て行った。