春田くんにハンマーで後頭部を殴られた玲央さんは静かにその場に倒れた。 手に持っていた携帯は音を立てて階段を転がり落ちていった。 「っ……」 「七乃、キミはカバンに荷物を詰めてて。ベットの上に大きいカバンが置いてあるから」 「……うん」 逃げるように、春田くんの部屋へ駆け込んだ。 何度も何度もハンマーで叩く痛々しい音が聞こえてきたが、私はなるべく聞かないようにしてカバンに必要最低限の物を詰めた。 「七乃、準備できた?」 しばらくして戻ってきた春田くんの服には赤い液体が付着していた。