哲也は素直に氷川先生と職員室に入った。


「まったく、おまえは」


パイプ椅子に腰を下ろすと同時に、氷川先生はため息をついた。


1年以上も哲也たちを見てきた氷川先生には、哲也の愚かな行動の理由が痛いほどわかっていた。



「おまえは、もう中2なんだぞ」



いつまで好きな子をいじめる気なんだ?

そろそろ素直なれ。


内心思ったが、そんなことを言おうものなら哲也が反発することは、必至。



だから。



「男は、女を守るもんだ」

「……ハイ」

「わかったら、保健室行って謝ってこい」


氷川先生は、しょげている哲也の背中を力強く押した。