聴こえる…。 「るい」 あ、まただ――…。 誰かが、私の名前を呼んでいる。 【なに?】 言葉にならない言葉を、 返って来ない返事を、 もどかしいと思う。思っているのに。 どうして、こんな夢を繰り返すのだろう。 「るーい」 酷く懐かしいような、ううん……、つい最近まで、この声を聞いたことがあったはず。 本当にそうだった? 君がそんな風に、名前で呼ぶのは――… 遠く、もう色褪せた日々の…話。