『あ、いえ…。』


というか、さり気なく可愛いっていったよね?


私は可愛くないのに。


梅「はじめまして。うちは梅ゆうねん。よろしゅうな。」


そう言ってその人…お梅さんは微笑んだ。


『は、はじめまして。橘梨希です。』


そう言った私になにか気づいたのか、着物の袖の裾で口を隠し、私の耳元で囁いた。


梅「知っとるんよ?女やろ?」


ま、またバレた。本当に大丈夫かな?


『橘美梨です。梨希は、男装している時の名前なんで、基本は梨希と言って欲しいです。』


梅「いいよ。うちは帰らなあかんから。あ、うち、八木邸に住んどんねん。やから、明日来るわ。梨希またなー!」


『あ、はい!』


走って帰ってった。


その走り方も綺麗だった。


羨ましい。


あんなに綺麗に微笑むことが出来るなんて。


本当の笑顔を見せることが出来て羨ましい。


私は一筋の涙を零した。


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