「あ、ユズキくんも今帰り?」
「うん。あ、今日は落としてないから、コンタクト」
下駄箱前でユズキくんの姿を見つけ、一瞬近づくのをためらった私に、彼はそう声をかけてくれた。
「だよね。ってかソフトレンズって中々落ちないでしょ」
「俺今年入ってからつけ始めたから、微妙に慣れてないんだよね」
お互い靴を履きながら、会話を続ける。
そのまま2人で校舎を出て、薄暗くなった空の下、一緒に帰路についた。
「へぇ、じゃ去年まではメガネだったの?」
「ううん。去年ゲームしすぎて視力一気に落ちた」
「あはは! 何それー!」
「そいえば、ハシノさんって家どっち方向?」
「私? 駅裏の住宅街の方だよ」
「そう、じゃ駅まで一緒に行こ。俺電車だし」
「うん。そーしよ!」
あれれ?
いつの間にか一緒に帰ってる? 私たち。
でも、その目をたくさん見ることができて嬉しいし、教室にいる時よりもゆっくり話ができて楽しかった。
「そういえばユズキくんあの限定のチョコ食べた? CMでやってたやつ」
「あーあのアニメとコラボしてるやつだよね。まだだよ」
「めちゃくちゃ美味しくてさー。あ、あそこで売ってるかも。行こ行こ」
勢いでユズキくんとコンビニ道草することに。
自分から誘っておきながら、少しドキドキした。