「いたたっ……」
腕を動かした途端に、肩に鋭い痛みが走った。片手で反対側の手で押さえながら、ゆっくりと上半身を起こす。
「あ、気がつきましたか。 気分はどうですか?」
痛みに顔をしかめていると、キキさんが椅子から立ち上がって傍らのテーブルでコップになにかを注ぐ。
なんで彼女が? と思いながら周りを見れば、石造りの薄暗く狭い部屋には、蝋燭程度の灯りしかない。窓は布で塞がれていて、あたしは木造のベッドに寝かされてた。
「あの……あたしは?」
「怪我をされたので、療養のためにここに泊まっています。ここにある診療所は常に満員ですし……ライベルトさんが、ここにいた方が安全だと」
「怪我を……」
頭を振って思い出そうとしても、ぼうっとしていて思い出せない。キキさんに「ダメですよ」とたしなめられてしまった。
「3日も眠ってらしたんですから。もっと体を労らなきゃダメですよ」
キキさんから渡されたコップには、たぶん水でも入っているんだろう。喉がかなり渇いてるな……と口をつけてから、あまりの苦みに噴き出しそうになった。
「こ……これ、なに?」
「ニガニガヒギを煎じた薬だそうです。体にいいらしいので、きちんと飲んでくださいね」
ニガニガヒギって……なんつ~やけくそな名前。名付けたひと、絶対この苦みにトラウマあるね。
ヒイヒイと泣きながら、何とか最後まで飲んだ。多少顔が青紫色になったらしいけど。大丈夫なはず……たぶん。



