異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。






「……ここまで来れば大丈夫かな?」


チラッと後ろを見ながら一度足を止めて息を着く。


ただ今、午後11時過ぎ。間もなく日付も変わろうという時間帯。あたしは綿のホームワンピの上に薄手のカーディガンを羽織り、足元はサンダルって格好で夜道に立ってた。


今は7月の初めだから夜はそんなに寒くない。それだから、今晩は野宿だとしてもさほど心配してない。


変質者も出やすい時期だけど、あたしはちっちゃいころ一時期習った武術の心得がある。酔っぱらいやその辺のヤンキー位は怖くない。


怖くない……んだけど。


切れかかった街灯がチカチカと瞬く下で、バス停にあるベンチに腰かける。隣にバッグを置いて、はぁっとため息を着いた。


(勢いづいて家出してきちゃったけど……明日明後日の2日が限度だよね)


土日だけの家出なんて外泊と変わらない。昔はプチ家出って言葉もあったようだけど、あたしの決意は豆腐より脆いかもしれない。


ううん、とブンブンと頭を左右に勢いよく振る。


(弱気になっちゃダメ! あの親子を困らせるのと、あたしの重要性を思い知らせるために決意したんでしょ。生半可な気持ちじゃないって)


そのために、一応制服も学校の必要な道具も纏めて持ってきた。徹底的に解らせてやるんだから! と息巻いて立ち上がった時……


お腹が盛大な音を立てて鳴った。