全てを無くした女性は、復讐のために最強の兵器を造ろうとした。あれ以上の威力のある兵器で報復をしようと、完成のために命を削った。
彼女の行動は当然、周囲にも国にも支持された。数千万という犠牲を払った人びとは、強く報復を望んだから。
やられたらやり返す――ひどくシンプルだけれど、それが自然の摂理。
そうして、最先端の技術を惜しげもなく使われ造られた銀色の【龍】が完成した。
けれども、その頃からその惑星の気候に異変が生じ始めた。
ゆっくりと死に向かう惑星の中で、無人で動く兵器である銀色の【龍】は、あらゆる過酷な環境で敵を確実に駆逐。その圧倒的なスペックの機体は、かつて数千万の命を奪った悪魔の兵器すら凌駕する。
人工知能により思考をし、単独でも、また他の機体とも協力し動ける完全に独立した兵器。【龍】は人びとの望み通りに圧倒的な力で“敵”の国をたった一晩で制圧し、粛正という名の虐殺を始めた。
――その国が完膚なきまでに破壊しつくされ、誰ひとり生き残らなかったのに……たった1日とかからなかった。
女性は、胸がすく想いがしただろう。最初は確かにそうだった。
けれども、喜んで居られたのは【龍】の記録されたとある映像を観るまで。
一体の龍に記録されたもの――それは、幼いころ女性が過ごしたことがある景色と。そして……。
彼女の初恋の男性の姿だった。
“彼”は――
幼い結婚の約束を守り、一途に彼女だけを想いつづけていた。敵になってしまったが大丈夫なのかと心配してくれていた。
彼が命より大切と叫び守ろうとしたのは……彼女が大事にしていた小さなぬいぐるみ。この中にエンゲージリングがあると、まだ彼女に会うまで死ねないと叫びながら――彼は一瞬で命を落としたのだ。



