《巫女よ》
【龍】から届く“声”は、すさまじい魔力で周囲を圧倒する。おそらく並の術者であれば、精神が一瞬で崩壊し即死するだろう。一流の使い手でも精神が壊れ廃人になる。普通の人間ならば、形が保てずに肉体ごと消滅する。
だから、わたしは【龍】と己の間にのみ通じる“道”を開いた。
目の前にある、銀色に輝く身体を見る。そっと触れれば無機質な外観に反し、確かに温かで生命の鼓動を感じる。
――おおよそ数千年前、この地には今より進んだ文明があった。その文明は地下に眠るこの【龍】を発掘し、兵器として甦らせたのだ。
【龍】――は。
かつて、別の惑星で造られし存在(もの)。
とうに滅びた、否。惑星ごと消滅した人々の、記憶と記録の欠片。住む惑星が太陽により消える運命であろうと、諍いを止めなかった愚かなものたちの。
決定付けられし運命を抗うよりも、最後の最期まで争いを止めなかった。膨張する太陽により飲み込まれる大地にしがみつき、殺しあった人間たち。
人は、人である限り愚かなままなのか――
人の手で造られし【龍】は、全てを終わらせるために。その惑星の人びとを眠らせた――“死”という慈悲によって。



