異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。




(ううむ……やっぱりないか)


セリスさんの同行を断った以上、何とか食料を確保しないと格好がつかない。なのに、いくら歩き回っても木の実すらないなんて。


(魚でもとれれば……川なんてないし。サルナシの実でも実ってないかな)


最悪、木の皮を剥いで住む幼虫を燻して……なんてゲテモノ喰いを覚悟しかけた時。


背の高い木の、相当上の枝にサルナシらしき木の実を見つけた。


サルナシはキウイフルーツのもとになった実で、自然界で採れる実の中ではもっとも美味しいもののひとつ。


(よし! あれを採ろう)


裂いてボロボロになったスカートの裾を縛り、ふわふわの袖を結んで上を見据える。


サンダルを脱いで裸足になったあたしは、丈夫な木の枝と窪みを選びながら慎重に昇っていく。


時々、ギシッと枝がたわんで折れそうな気配がする。その度に足を止めて、ドキドキしながら次の枝に移る。


やがてサルナシのなってる枝にたどり着いて、小さな実をもぎながらポケットに入れていく。


全部食べちゃったら駄目。他の野生生物の食料にもなるんだから。必要なだけいただいたあとは、するすると降りていく。


だけど。


「和さん!」

「うわっ!?」


最後の枝に足をかけたところでいきなり呼ばれて、驚いたせいか足をずるりと滑らせた。