「もしかすると、怪我とかで一時的に記憶が混乱してるだけかもしれませんよ? 頭が痛かったりしませんか?」
「……そういえば……少し。風が吹いたようなスーッとした冷たい痛みが」
ううむ……とあたしは腕を組んで考える。
頭が痛いなら、もしかすると放っておいたら不味いことになるかもしれない。ちょっとした兆候が重大な症状のサインということもあるし。
誰かを呼んできてセリスさんを診てもらうのも手だけど、もしも彼が途中で倒れたらあたしじゃ運ぶのは無理っぽいよね。
(とにかく……誰か大人のいるところまではたどり着かないと)
「あの、よかったらお水飲んでください。喉が渇いてるでしょう」
「あ……はい。ありがとうございます」
セリスさんはやはり喉が渇いてたらしく、あたしの調達した水を素直に口にした。服が汚れてる以外に他に大きな怪我はなさそうだ。
「あの……立てますか? とにかく、どこかに着かないとこのまま夜になれば相当冷えることになりますから」
「はい。少し休みましたから、大丈夫そうです」
このままジッとしていてもらちがあかないから、セリスさんを助けながら歩くことにした。だけど、やっぱりぐるぐると同じ地点に戻ってしまう。
歩き疲れたところで、日が傾いてきたのか暗くなってきた。
まずいと思ったところで、セリスさんが岩の間に手狭ながらも洞を見つけたから、ひとまずそこへ入りこんだ。



