「ありがとうございます」
「あたしは秋月和。15歳の中3です。気付いたらいつの間にかここにいて迷ってたんですけど、いったいどこなのかわからないんです」
「アキツキナゴムさん……ですか。私はセリス·ド·セイレムと申します」
銀髪の美形さんは、やっぱり異国の方でした。
「セリスさん……ですか。日本へ来られたのは旅行ですか? それとも留学で?」
「ニホン?」
セリスさんは怪訝そうな顔をしてる。あれ? 日本がわからないのかな? とたどたどしい英語で問いかけてみた。
『ここは日本ですよ』
「……??」
セリスさんはますます意味がわからない、って顔をしてる。あたしの拙い英語がまずかったのかな?って思ったけど。
「すみません……“ニホン”って何ですか?」
眉尻を下げて困り果てたようにセリスさんが言うのに絶句した。
別に、自惚れるわけじゃないけど。日本ってある程度世界で有名だと思う。地図で位置を示さなくても、名前を言えばいくつかの単語があげられるくらいには。
それなのに、見た目まんま欧米人のセリスさんが知らないって。いったいどんな土地に住んでたんだろう?
「日本、知りません? お寿司、忍者、京都、東京、トヨタ!」
何だかしっちゃかめっちゃかだけど、知られてる単語を挙げたのに。セリスさんは困ったまま首を横にふる。
「申し訳ありません……私は知らない言葉ばかりです……ですが……」
セリスさんはあたしをヒタと見据えて、こうおっしゃった。
「アキツキ ナゴムさん。私は……あなたなら知ってる気がします」



