「……あれ?」
フワリ、と一瞬体が浮いたような気がしたけど、気のせいだったかな?
(まさか、体が浮くなんて……そんなはずないよね)
うん、やっぱり気のせいだって思うことにした。
「……それにしても」
あたしは立ち上がってキョロキョロと周りを見回す。ずいぶん高い木がたくさんあって、地面には艶やかな下草が生えてる。
「もしかしてここ、森? ……じゃないよね」
足元は平らな地面じゃない。凸凹の岩があって、緩く斜面になってる。
だけど困ったことに、濃い霧が漂って視界を狭めてる。空気はひんやりしてるけど、完全な暗闇じゃないから夜じゃないよね。
「あたし……なんでこんなにところにいるんだろ? 学校行事でこんなのあったっけ?」
おかしい。林間学校なんて中2で終わったし、中3の今は受験対策でこんな行事はなかったはず。部活に入ってもないから、合宿なんてありえないし。
「芹菜、どこ? 芹菜!!」
もしも学校行事で来たとしてもプライベートで来たとしても、必ず芹菜と一緒のはず。友達は芹菜以外いないから、共に行動してる可能性が高い。
なら、探せばきっと近くにいる。芹菜があたしを見捨てるはずない。友達としてずっと一緒にいてくれる、って約束したんだから。
「芹菜、お~い! どこにいるの~?」
精一杯声を張り上げて親友を呼ぶ。だけど、乳白色の霧の向こうからは何の返事もなかった。



