天蓋から下がってるカーテンが目に入った瞬間、ハッとなった。以前と全く同じ状況の再現に、気をしっかり持てと自分に言い聞かせる。
(ダメだ……このままだと前と同じ。ちゃんとバルドと話さなきゃ!)
少しだけ、素直になろう。
なにもかも隠したまま自分の希望を叶えてもらおうだなんて、都合がよすぎる。バルドが誤解しているのも、あたしの言葉が足りないからだ。
お互いの言葉が足りない、とハロルド国王陛下はおっしゃってた。きっと彼はセリナと想いを通じあわせるために、たくさんの言葉を交わしたんだろう。
あたしも、そうしたい。
どうして、バルドがそう思ってしまったのか。彼が何を考えているのかを、ちゃんと知って理解したい。そして、あたしの気持ちを伝えたい。
“好き”以外は、伝えたい。
あたしを無表情なまま見下ろすバルドに抗わないまま、精一杯の笑顔で彼を見上げた。
「バルド、あたしを助けてって……ハロルド国王陛下に頼んでくれて、ありがとう。お陰であたしは生きてる。バルドのお陰だよ」
あたしの手首を掴むバルドの指が、ピクッと動いた。ベッドに縫いとめる力は強いままだけど、心なしか圧力は弱まった。
「あたしが巫女の力を使いたいのは……確かにセリス王子のためだよ」
そう認めた瞬間、また籠る力が強くなる。手首の骨が軋みそうなほどに痛くて、それでもあたしは笑みを崩さずバルドを見上げた。
「だけど、それはセリス王子が好きだからとかじゃない。彼への責任を果たしたいからだし、彼はこれからのセイレム王国やみんなに必要……だから、命を戻したい。ただ、それだけだよ」



