「あたしは……誰がなんと言おうと、バルドを信じてる。何をされたって……あなたは必要だから、するんだよね。だから……あたしはいいよ。好きなようにして」
やっと、思ってることを伝えることができた。
それは本当に伝えたい想いの半分もないけど、あたしには十分。
「だから……もしも、バルドが一度だけでもあたしに応えたくないなら……」
つらいけど、キュッと布団を握りしめて震えを止めた。
「……あきらめる、から。二度と目の前に現れないし、迷惑かけない。大丈夫、ディアン帝国に悪い影響がいかないように頑張るから」
ピクリ、とバルドの眉が微かに跳ねたのは気のせい? 彼はいつもの無表情なまま、口を開いた。
「……あいつのためか?」
「え?」
あいつって、誰? 誰を指すのかわからずに目をパチパチと瞬いてると、バルドの眉がわずかに寄った。
「そこまで媚びを売ろうとするのは、あの王子のためなのか?」
「え……王子って……」
あたしの中で王子と言えば何人か浮かぶけど、どのひとかわからずにクェスチョンマークが頭を巡る。首を捻るあたしの手首を、いつの間にかバルドが掴んだ。
「セリス王子のためか、こんな格好までして」
「えっ……」
ギクリ、と身体を強張らせた瞬間、やはりと言いたげな歪んだ笑みをバルドが顔に浮かべる。
「……堕ちたものだな、他の王子のために利用されるとは……だが」
動揺していたせいか、肩を強く掴まれ体が倒されても咄嗟に対処できない。背中に柔らかい感触があって、全身をベッドに押さえつけられたと気付いた。



