異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。





「おまえを斬ったことは、謝らないし後悔しない」

「え?」


ドキドキと胸を高鳴らせていたぶん、バルドが何を言ったか理解するのに時間がかかった。


“おまえを斬ったことは後悔しない”――そう、言ったよね。確かに。


そうだ。襲撃があった夜に、あたしはバルドにお腹を斬られた。あの苦しみと痛みは忘れられない。


だけど、あれは自分から望んだんだ。問答無用で斬ることもできたのに、バルドはあたしに選ばせてくれたんだから。


結果的にバルドの判断は正しかった。あの卵の力で闇のものたちは全て燃えつきたんだから。古代兵器に匹敵する謎の力。もしもあんなものが暴走したら……。


想像するだけでゾッと背筋が寒くなる。


(でも……)


バルドはあたしを斬る時、きっと手加減をしてくれた。


だって。本当に殺すつもりならば、もっと深く斬るか心臓や首を狙ったはず。それなのに彼は、あくまで致命傷にならない場所を選んで斬った。


それは、どうしても必要があってそうしたという意思を感じて。彼が本気であたしを殺したい訳じゃない……って、解ったんだ。