お風呂から上がれば、なぜかミス·フレイルが待ち構えてた。身体をマッサージされた後、いい香りがするクリームを塗り込まれ、爪までピカピカに磨かれる。
『きちんとお手入れしなければ、殿下のお肌に傷をつけてしまいますしマナーに反しますから』
ミス·フレイルの説明は、意味不明。なんであたしがバルドを傷つけることになるの? まさか、ケンカでもして引っ掻くと思われてるとか?
「いたた……痛い!」
『これくらいガマンなさいまし』
なぜか、念入りにとかした髪の毛を編み込まれてます。花まで挿すってどうしてですか?
『それではこれをお召しになっていただきます』
「…………」
至極真面目な顔でミス·フレイルが広げた室内着は……気のせいか、すっごく薄い生地じゃありませんか? キャミソール並みに生地が少なくて、気をつけないと粗末な膨らみが見えちゃいますよ。とても皆さんのお目にかけられるようなシロモノじゃないそれ、無理に見せられて何の罰ゲームだって話になりますよね。
「あの……いつもの室内着は」
『全て洗濯中でございます』
「なら、ワンピースでも」
『あいにくほとんど処分するため下げ渡しました』
「…………」
『…………』
お互い顔を見合わせて沈黙する。なんなんだろう? ミス·フレイルも微かに緊張して見えた。
『くれぐれも、バルド殿下に逆らわないでくださいまし。殿下は大変ご立腹でいらっしゃいます』
「はあ……」
間が抜けた返事しかできないあたしは、ミス·フレイルを見送るしかできなかった。



