洗う洗わないの攻防の結果……
ミス·フレイルに身体を洗われた。髪の毛から爪先までしっかりと。
というか、なんだかいつもより時間がかかってませんか?
こういうのが苦手だから普段はシャワーで済ませてたのに、ミス·フレイルは許してくれませんでした。
『お上がりになりましたら、マッサージを致しますのでお声をお掛けくださいませ』
ミス·フレイルはそれだけ言い残すと、心なしか早足でバスルームから出ていった。う~ん、なにか慌ててるけどなんだろう?
やっと一人きりになって、ほうっと息を吐いた。
バルドは……会ってくれるのかな?
こうやってお湯を用意してくれたのは、バルドの指示? リヒトさんの気遣いって可能性も高いけど。あたしはなんとなく、バルドの配慮の気がした。
ちゃぷん、とお湯を掬って手のひらで踊る水面の煌めきを眺める。少しずつ少しずつ、指からこぼれ落ちるそれはあたしの決意を試してるみたいで。
“本当に、いいのか?”
ハルトの問いかけが、胸一杯に響く。
「いいに、決まってるじゃない。だって……決めたんだから」
指をひらいてお湯を流せば、水面が揺らいで映ったあたしの顔が乱れる。それを受けて起きた波紋は、なかなか消えてくれなかった。



