「急に呼び出してすみません」
「い、いえ……」
セリス皇子は申し訳なさそうに眉を下げ、それでも少しだけ外を歩きませんか? と誘ってきた。
しばらく歩くと、不思議なものを見た。二足歩行の鳥に似た……乗り物? ダチョウを模したような人造の乗り物がこんな土地にあるなんて、何だか違和感を感じる。
「これは?」
「初めて見ると驚かれるでしょうが、これはエークという自動移動機です。型違いのバリエーションはありますが、最も高性能なものですよ」
「……機械が、あるんだ」
「はい。我がディアン帝国は土地が痩せて作物はろくに採れませんが、石油や鉱物資源だけは豊富に採掘できますから。科学文明はある程度発達してます」
「ほへ~」
びっくりだ。枯れた土地からちょっと貧しい国を想像したけど、まさか機械文明があったなんて。
「あ……でも、確かに。ここに来る前には空を飛ぶ機械を見たし。そんなに意外じゃなかったかな」
あたしが何気なく思い出したことを話せば、どうしてかセリス皇子の顔が強張る。どういうことか訊ねてきたから、見たままを話せば彼は険しい顔で黙り込んでしまった。
はれ? なにか不味いこと言ったかな? と首を傾げると、突然セリス皇子はあたしの手にそっと自分の手を添えて真剣な瞳でこう言った。
「いいですか、あなたが異世界から喚ばれたことはまだごく一部の人間しか知らないのです。皇族や高位の貴族の一部のみ……やたらに接触を計ろうとする人間がいたら警戒をしてください。あなたの力を利用しようとする人間はごまんといますから」



