「あんたたちも、ナゴムが行くのはいいね?」
「しゃ~ねえ。足だけは引っ張るなよ」
ロゼッタさんの問いかけにハルトが応じて、甲冑を着込んだ彼は愛用の剣を手にして騎士の正装になる。カイル王子はハルトに新しい武器を用意してもらい、簡易な防具を身に付けた。
「俺が出来る範囲で手助けはするけど、たぶんいっぱいいっぱいだと思うから。あんまり期待をしないでくれると助かるよ」
相変わらずカイル王子は本気だか冗談かわからないことを言う。
「別に、大丈夫だよ。あたしも自分の身くらいは護れるつもりだから」
せめて、それくらいは。もうこれ以上、誰かの負担になりたくない。誰かに迷惑をかけたくない。その思いで答えると、馬を寄せてきたカイル王子はポンとあたしの肩を叩いた。
「あんま思い詰めるなよ。なるようにしかならないってさ。一番危険なのは自分を見失うことだよ。こうしたいって強い気持ちがあれば、どうにかなるものだって」
「うん……ありがとう」
ゴシゴシ、と腕で涙を拭う。
泣いてる場合じゃない。カイル王子の言う通りだ。
今はただ、一人でも多くの人を助けたい。そして、セリナを救いたい。大切なあたしの親友だから。
「さてと、いきますか!」
カイル王子の元気付けるような声と共に、あたし達は宮殿へ向かって走り出した。



